2010年11月6日土曜日

【論文紹介】モバイルサービスのタスク指向型メニュー搭載を目指して

著者:笹島 宗彦, 來村 徳信, 長沼 武史, 倉持 正治, 溝口 理一郎
keyword: モバイルサービス、オントロジー、ユーザモデル

この論文は、日常生活行動のオントロジー(意味づけされた階層辞書)に基づいてユーザの行動モデルを構築する方式を提案し、携帯電話から利用されるインターネットの現実的な利便性向上を目指した実証実験について述べている。

現在の携帯電話サービスは交通、地域、グルメなど各サービスが属するコンテンツ毎に分けられているため、ユーザは必要なサービスがどのコンテンツに所属するのかまず考えなければならない。

しかし、筆者らが提案したタスク指向型メニューは、ユーザの状況やしたいこと(電車に乗りたい、宿が満室、食事をしたい)をキーにしたメニューを表示し、ユーザに携帯電話サービス(乗換案内や宿泊施設情報、グルメ情報など)を提案する。

そして著者らは、タスク指向型メニューを実規模に拡大するための方式としてOOPSモデルを提案する。
1.はじめに、モバイルサービス事業者は、自分の言葉でモバイルサービスを受けるユーザのモデルを記述する。(どのデパートに行くか決める、買い物に行く、帰宅する、)
2.次に、モバイルサービス事業者のモデルを、オントロジー設計者がオントロジーを参照して定義された語彙に変換する。(デパートに行く→デパートに移動する)
3.そして、モバイルメニュー設計者は変換された語彙を用いてモバイルユーザの行動モデルを作成する。
4.最後に、モバイルサービス事業者が自身のサービスが当てはまる行動モデルを選択することで、実際のモバイルサービスに反映される。

膨大な数に及ぶユーザの行動を一般化し実タスクの規模に拡張するために、タスク概念(計画、診断、設計など)を体系化したタスクオントロジーを用いた。例えば、2004年度のi-modeサービスを構成するサービス名称9162件をタスクの種類に分類したところ、調べるが30.1%を占め、上位10種類の同士で全体の94.1%、上位20種類で97.5%を占める結果が得られた。つまり、少ない語彙で多くの対象を分類することが出来たと言える。
そして、NTT DoCoMoが提供するi-modeサービス9,162件に対して、筆者らが構築したOOPSモデルに現れていない状況を想定したものは199(2.17%)に過ぎないという結果が得られ、現状のモバイルサービスをほぼすべて含むことができたと述べている。

筆者の笹島氏はこの研究を元に、タスクオントロジーを利用したアンビエントな車内空間の実現について研究している。車内、車外センサーとタスクオントロジーを組み合わせて運転者の状況、好み、性格を認識し、その時々に合わせて自動的に車内の温度や空調、ラジオ、音楽を変更するシステムの構築に取り組んでおり、オントロジーの実用化に向けて尽力されている。

1 件のコメント:

  1. 全部で分類って何種類あるんですか?上位10種類が多いか少ないかわかりません!
    あとオントロジー利用のメリットは?2段落目の問題はクラスタリングに近い気がしたのですが。

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